かな書
【作品】
海鳴る空
海は夜(よ)に鳴る 潮の音(ね)は 沖におどろの 曇り空 波が光るぞ
流藻の 花の白きが 懐かしや
【解説】
西条八十詩集より
調べてわかった事ですが、渡辺はな子さん(戦前から戦後にかけて活躍した歌手)のレコードに「海鳴る空」で録音されている。
ちょとセンチで、うら寂しい詩集に心が動き、書いてみました。
ペン書
梅花の歌 序(抜粋)
【作品】
初春の令月(れいげつ)にして、気淑(よ)く風和(やはら)ぐ。梅は鏡前
(きょうぜん)の粉(ふん)を披(ひら)き、蘭(らん)は珮後(ばいご)の
香(こう)を薫(かを)らす。
[日本古典文学全集 萬葉集二 小学館 より]
【解説】
新元号「令和」の基になったといわれる、万葉集梅花の歌三十二首の序。
新春正月の良い月で、気は良く風は穏やかである。梅は鏡の前の白粉のよう
に白き咲き、蘭は匂い袋のように香っている。
漢字書
色紙
条幅
【作品】
閑中信歩花届住酔後高歌月帰送
【読み】
閑中 歩に信(まか)せて 花留住し 酔後 高歌して 月帰るを送る
【意味】
少しの合間に、足の向くままに歩めば、花の匂いに束の間立ち止まり、
一杯機嫌で高らかに歌えば、月は帰りを見送ってくれる。
【解説】
中国の漢詩によくある飲んだ後の歌。それにしても酒は誰でも詩人にする魔法の飲み物なのだ。
篆刻
第二十二回ギャラリーを書き終えて
古希を過ぎ、令和となって最初の更新となりました。今回はまったく肩の力を抜き書きました。少なくとも作品として発表する以上、時間を掛け準備するのが当然のことですが、なにか無性に書きたくなり、気ままに筆を動かした作品です。
お楽しみください。
令和元年年6月