憩いの空間 嶺風の書斎 雲心庵

ギャラリー 第二十ニ回

かな書

【作品】
海鳴る空
海は夜(よ)に鳴る 潮の音(ね)は 沖におどろの 曇り空 波が光るぞ
流藻の 花の白きが 懐かしや

【解説】
西条八十詩集より
調べてわかった事ですが、渡辺はな子さん(戦前から戦後にかけて活躍した歌手)のレコードに「海鳴る空」で録音されている。
ちょとセンチで、うら寂しい詩集に心が動き、書いてみました。


ペン書

梅花の歌 序(抜粋)

【作品】
初春の令月(れいげつ)にして、気淑(よ)く風和(やはら)ぐ。梅は鏡前 (きょうぜん)の粉(ふん)を披(ひら)き、蘭(らん)は珮後(ばいご)の 香(こう)を薫(かを)らす。       

[日本古典文学全集 萬葉集二 小学館 より]

【解説】
新元号「令和」の基になったといわれる、万葉集梅花の歌三十二首の序。
新春正月の良い月で、気は良く風は穏やかである。梅は鏡の前の白粉のよう に白き咲き、蘭は匂い袋のように香っている。


漢字書

【作品】
抱腹絶倒(ほうふくぜっとう)

【意味】
腹を抱えて大笑いすること

【解説】
少しでも雰囲気を感じていただきたいと思い書きました。


色紙

【作品】
不滅

【意味】
ほろびないこと。永久になくならないこと。

【解説】
紙のにじみを生かし、いつまでも続く連続性をだしてみました。


条幅

【作品】
閑中信歩花届住酔後高歌月帰送

【読み】
閑中 歩に信(まか)せて 花留住し 酔後 高歌して 月帰るを送る

【意味】
少しの合間に、足の向くままに歩めば、花の匂いに束の間立ち止まり、 一杯機嫌で高らかに歌えば、月は帰りを見送ってくれる。

【解説】
中国の漢詩によくある飲んだ後の歌。それにしても酒は誰でも詩人にする魔法の飲み物なのだ。


篆刻

【作品】
萬葉(まんよう)

【意味】
万世。永久。多くの木の葉(漢語林より)

【解説】
軟らかい石で、思うように削れませんでしたが、久々の篆刻。
でも楽しいですよね。


第二十二回ギャラリーを書き終えて

古希を過ぎ、令和となって最初の更新となりました。今回はまったく肩の力を抜き書きました。少なくとも作品として発表する以上、時間を掛け準備するのが当然のことですが、なにか無性に書きたくなり、気ままに筆を動かした作品です。
お楽しみください。 

令和元年年6月